特別講演
- 日時
- 2014年12月16日(火)16:45 - 17:45
- 会場
- 東京ビッグサイト国際会議場
- 講演題目
- <復興まちづくりにおける合意形成とシステムインテグレーション>
---宮城県岩沼市における防災集団移転促進事業の事例から---
- 講師
- 中央大学理工学部 教授 (東京大学名誉教授)
石川 幹子 氏
- 講演概要
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東日本大震災から3年半が経過しました。
被災した皆さんが住む安住の地の整備は,何をさておいても,日本の社会が速やかに支援,
実現していかなければならないものですが,実際の整備は牛歩のごとき歩みです。
多くの自治体では,移転地の確保の困難さに加えて,住民の合意が整わないことが大きな課題となっています。
そのような中で,宮城県岩沼市では,例外的に336世帯1,000人のまちが,被災者への土地の引き渡を終え整備が進んでいます。
このまちでは,沿岸部の6集落が壊滅し,揃って集団移転をする決定を行い,徹底した話し合いを3年半地道に積み上げてまいりました。
講演者は,学術研究者の立場から津浪発生時より,持続的に支援活動を行い行政・被災者・支援者のプラットフォームの形成と
復興まちづくりの実践を行ってきました。
この講演会では,全く異なるステークホルダーが,まちを白紙から創り出していくという,
これまでに経験したことのない混沌とした状況の中で,どのような経緯で復興まちづくりが実現されてきたのかを,
時間軸に沿ってお話いたします。
第一に,目標(Goal)は,いつ,誰が,どのようにして定めたのか?
第二に,目標を実現するための,具体的まちづくりの柱(Requirement Specification)は,どのようにして創り出されたのか?
第三に,具体的なまちづくりの手法・要素(Tools &Activities)は何か?
第四に,すべての段階で,合意形成はどのようにして行われたか?
この事例を通して,異なる多様な要素を統合し新しい価値を生み出していく
「システムインテグレーション」について,皆様と議論を深めたいと思います。
- 講師プロフィール
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略歴
宮城県岩沼市生まれ
東京大学農学部卒業
ハーヴァード大学デザイン学部大学院修了
東京大学大学院農学系研究科博士課程修了
慶應義塾大学環境情報学部教授
東京大学工学系研究科教授
2013年~ 中央大学理工学部教授
専門
都市環境計画、環境デザイン
主な役職
東日本大震災後、宮城県震災復興会議委員、宮城県岩沼市震災復興会議議長を務める.
川崎市環境審議会委員、東京都自然環境保全審議会委員等.
主な著書
「都市と緑地」(岩波書店)、「流域圏プランニングの時代」(技報堂)、
「21世紀の都市を考える」(東京大学出版会)など.
主な受賞歴
みどりの学術賞(内閣総理大臣賞)(2008年)
日本都市計画学会計画・設計賞 (2008年)
四川汶川大地震復興グランドデザイン栄誉賞(2008年)
土木学会環境デザイン最優秀賞 「各務原市学びの森」(2008年)
EU国際基金21世紀の公園国際競技設計1位(2003年)
日本都市計画学会論文賞 (2001年)
都市公園コンクール 『都市局長賞』 「にいじゅく未来公園」 東京都葛飾区( 2013年)
土木学会デザイン賞『優秀賞』「各務原市 瞑想の森」( 2012年)
土木学会デザイン賞 『優秀賞』 「各務原市 自然遺産の森」(2011年)
都市公園コンクール 『国土交通大臣賞』「河跡湖公園」 (2010年)
都市公園コンクール『国土交通大臣賞』「玉川上水・内藤新宿分水散歩道 新宿区」 (2010年)
緑の都市賞『内閣総理大臣賞』「岐阜県各務原市」 (2005年)