パネル討論
- タイトル
- 「東日本大震災から何を学び何をどう変えていくべきか」
- 日時
- 2010年12月24日(金) 15:40~17:10
- 会場
- 京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
- パネル趣旨
- 阪神淡路大震災を契機に様々な角度から安全・安全・防災・減災のためのシステムが提言され、その実現に向けて努力がなされてきたはずである。
しかし、今回の東日本震災で、様々なシステム上の問題点が認知され、新たな課題を突きつけられている。
その課題は、深層的には日本人のリスク管理の問題、つまりは生き方にまで及んでおり、研究者・技術者としての、モラルとモチベーションの持ちかたにも変容が求められている。
そもそも、今回の震災で、何が原因で、何が起きていて、どのような結末をもたらしているのかを十分に解析・理解できているのであろうか。
沢山のかけがえのないひと・ものを失った、この悲惨な経験から何を学び、どのように世界の貴重な教訓として活かし、引き続き世界各国で発生している災害に、いかに備えていくべきか。
今回のパネル討論では、パネラーの方々にそれぞれのお立場・ご経験から、様々な視点からの話題提供をいただき、複雑なこの問題の真相を解きほぐし、何をどのように変えていけば良いのかを考えていきたい。
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- モデレータ
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京都大学大学院工学研究科 教授(SI2011実行委員長)
松野 文俊
- パネラー
- 財団法人 電力中央研究所 社会経済研究所長
東京大学客員教授
浅野 浩志 氏
- 講演タイトル
- 「電力システムにおける需要側資源の統合」
- 講演概要
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大震災と電力供給不足を踏まえて、災害に強く、柔軟な需要調整の可能な需要家
参加型の電力システム運用の必要性が認識された。火力発電など供給側資源と代
替するデマンドレスポンスなど需要側資源を電力システム運用に活用する動きが
求められる。
- プロフィール
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東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。
米国スタンフォード大学客員研究員、東京大学助教授、東京大学大学院教授を経て、現職。
- 花水木法律事務所 弁護士
小林 正啓 氏
- 講演タイトル
- 「国産レスキューロボットはなぜPackbotに負けたのか―法制度の視点から」
- 講演概要
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ロボット大国」と言われたわが国のレスキューロボットは、しかし、福島原発
事故への対応において、米国製ロボットに大きく出遅れた。わが国のレスキュー
ロボットの進化を阻害する法制度的要因を指摘し、その解決について提言を行う。
- プロフィール
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1962年8月生まれ。
東北大学法学部卒業。
1992年弁護士登録(44期)。
2000年花水木法律事務所創設。
一般民事事件の傍ら,ヒューマノイドロボットの安全性の問題と,ネットワー
クロボットや防犯カメラ・監視カメラとプライバシー権との調整問題に取り組む。
経済産業省次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会委員,総務省安
心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術のあり方に関する調査研究会委員。
大阪市ロボットラボラトリー(RooBo)運営委員。
最近の著書としては情報処理学会誌2007年1月号特集「安全と安心のための画像
処理技術」中「人物を認識することの法的問題点~監視カメラシステムの設置運
用基準~」。
- 京都大学原子炉実験所 副所長 兼 安全管理本部長
環境放射線安全管理工学分野 教授
高橋 千太郎 氏
- 講演タイトル
- 「環境放射線モニタリングシステム-東電福島原発事故から見えてきたもの-」
- 講演概要
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東京電力福島第一発電所の事故により環境中に多量の放射性物質が放出され、様々な
問題を引き起こしている。環境放射線モニタリングは、平常時における環境放射線
(能)レベルのモニタリングだけでなく、このような緊急時にも利用できる形で整備
されていたはずであるが、実際のところは地震や津波の影響も重なり、機能不全に
陥ったと言える。原子力施設における環境放射能のモニタリングシステムについて現
状、問題点、今後の方向性について述べる。
- プロフィール
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1978年(昭和53年)京都大学農学研究科修士課程修了
1978年(昭和53年)科学技術庁放射線医学総合研究所、研究員
(この間、英国医学研究協議会放射線生物学部門研究員、
テキサス大学医学部放射線腫瘍学科教授など)
1983年(昭和58年)農学博士
1998年(平成10年)放医研・比較環境影響研究グループ、グループリーダ
2002年(平成14年)同上・放射線安全研究センター、センター長
2005年(平成17年)同上・理事(研究担当)
2008年(平成20年)京都大学原子炉実験所、教授
- 筑波大学 システム情報系 教授
油田 信一 氏
- 講演タイトル
- 「社会へソリューションを提供するロボット研究を進めよう」
- 講演概要
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ロボット技術は人間の働きを人工的な機械で実現しようとする技術体系であ
る。ロボットには現在できていない夢の機械という性格がある が、目的として
の「具体的な働き」を定めないと意味がない。その点で社会や産業にある問題を
解決するというソリューション提供型の研究開 発と相性が良い。
現在、原子力事故への対処は基より、効率よく安全で確実に自動的に働く 機械
への社会のニーズは益々大きくなっている。ロボット研究者も、改めて、社会と
関わりつつ研究を進めることが求められている。
- プロフィール
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1948年3月生まれ。生まれたのは九州長崎市だが、育ったのは東京都。
1975年慶應義 塾大学工学研究科修了(専攻は電気工学)。工学博士。東京農工
大学工学部を経て、1978年 より筑波大学で、情報工学およびロボット工学や制
御工学について教育と研究を行なっている。この間、2004年~2006年法人化した
筑波大学の理事・副学長(研究・産学官連携・社会貢献などを担当)、2006
年~2010年筑波大学産学リエゾン共同研究センター長。
知能移動ロボットの研究、特にプラットフォームの開発とそれを用いた実験に基
づく研究を進め、企業との協力も 多い。企業に協力して開発され商品化された
ロボット用測域センサは、2005年以 来世界中で広く使われている。また、ロ
ボット工学に対する学生の関心を基に、技術やシステム設計に対する興味を喚起
し、この分野で多くの 学生や大学院生への指導にあたっており、卒業生は多く
の企業等からも高く評価されている。
2007年からは自律移動ロボットの技術開発のための公開公道走行実験「つくば
チャレンジ」を提唱して中心になって実 施。2010年度の「つくばチャレンジ」
には全国から約70台のロボットが参加して公開実験を行った。
- 財団法人日本広報センター参与
早稲田商店会相談役
前衆議院議員
安井潤一郎 氏
- 講演タイトル
- 「震災とコミュニティ」
- 講演概要
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被災地避難所に見るコミュニティの重要性を具体的事例を基にお伝えします。
- プロフィール
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1950年(昭和25年)2月19日東京都新宿区生まれ 最終学歴早稲田大学中退
1972年 家業の食料品スーパー稲毛屋に入社
1991~92年 地元の新宿区立戸塚第一小学校PTA会長
1993~2008年 早稲田商店会会長
1996年 8月 「エコマーフェステイバルイン早稲田」を実行委員長として開催
1998年 9月 「エコステーション1号館」を行政の補助金ゼロで開設
2002年 9月 平成14年度防災功労者内閣総理大臣表彰受賞
2003年 4月~2005年8月 内閣府中央防災会議調査専門委員
2003年11月 江戸開府400年記念事業・史上最大商店街まつり実行委員長
2004年 4月 地域通貨・エコマネー「アトム通貨実行委員会」設立、現在会長
2005年 9月~2009年 8月 衆議院議員
(2006年 4月 首都圏地震対策議員連盟設立、事務局長就任)
- 京都大学大学院医学研究科 教授
小池 薫 氏