特別講演
- 日時
- 2010年12月24日(金) 14:30~15:30
- 会場
- 京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
- 講演題目
- 「東日本大震災における救急医療」
- 講師
- 京都大学大学院医学研究科 教授
小池 薫 氏
- 講演概要
- 1) 福島第一原子力発電所内での救急医療
福島第一原発では連続した爆発事故が発生したが、収束作業を行うために自発的に現場に残った作業員たちがいた。海外のメディアは、彼らのことをFukushima 50 heroesと称賛した。一方、大震災発生から1週間、第一原発内には医師のいない状態が続き、その後平日昼間だけの診療が始まった。しかし、不幸にも医師不在の時間帯に作業員のひとりが急死するという事態が発生し、これを契機に、5月29日から24時間の医療体制が始まった。7月1日からは、被ばく医療、夏場の熱中症、外傷、心疾患、脳血管疾患などに対応するため、救急被ばく医療の24時間体制が始まった。
2) 災害派遣医療支援チーム(DMAT)の活動
DMAT(Disaster Medical Assistance Team)とは、大規模災害や多数傷病者発生事故が起こった際に、現地に緊急参集し、急性期(おおむね48時間以内)の活動を行う医療チーム(医師、看護師、業務調整員)である。医療支援の方法は、被災地内の病院の医療をバックアップする「病院支援」や、多数の重症患者が発生した際に被災地の外に患者搬送を行う「広域医療搬送」など、多岐にわたる。阪神・淡路大震災の教訓から生まれたDMATだが、東日本大震災においては、システム的にはおおよそうまく機能したものの、超急性期医療の需要は限られたものであった。
- 講師プロフィール
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1981年(昭和56年)慶応義塾大学医学部卒業
1981年(昭和56年)東京都済生会中央病院 内科・外科研修医
1984年(昭和59年)国立がんセンター 外科レジデント
1987年(昭和62年)医療法人誠和会白鬚橋病院 外科・救急医長
1990年(平成 2年)アメリカコロラド大学外科 客員研究員
1994年(平成 6年)日本医科大学救急医学教室 助手
2000年(平成12年)日本医科大学救急医学教室 講師
2001年(平成13年)東北大学大学院医学系研究科 救急医学分野 助教授
2006年(平成18年)現職