部会設立趣旨

バイオミメティックマシン部会の趣旨

2020年8月24日

趣旨:

従来のインテリジェント制御やインテリジェント機械に関する研究では、いわゆるファジィ推論、ニューラルネットワーク(NN)、遺伝的アルゴリズム(GA)あるいは免疫アルゴリズムやバクテリア探索アルゴリズム等の生物に触発されたソフトコンピューティング技法(またはバイオミメティック解析計算ツール)を積極的に利用してきたが、構成された制御系やインターフェイスが人間から見てインテリジェントかどうかの疑問が残るもの、つまりソフトコンピューティング技法を単に推論や写像または最適化のツールとして利用したものが多いのは否めない。

ファジィ、NN、GA等のバイオミメティック解析計算ツールは基本的ツールとして利用するものの、対象とする制御系やインターフェイスの構築の際に、人を含む動物行動学(行動生態学、生理学、社会学、心理学、遺伝学、進化学、数理生物学など)、あるいは哲学的方法論等(例えば、アフォーダンスやオントロジー等)での解釈や現象論を具体化して人工的システムとして当てはめることによって、出来上がった制御系やインターフェイスに対して何らかの生物に学ぶバイオミメティック機能の発現(つまり、インテリジェンス)を期待するような機械システムを構築することにより、機械またはロボットと人間の協調や親和性の向上がより図れるものと思われる。このような機械を、従来の生物工学と電子工学の融合として研究されてきたバイオニクスというよりも、より機械やロボットとしての実現を意識して、ここではバイオミメティックマシンと呼ぶことにする。

具体的関連テーマには、バイオミメティック知覚の開発、バイオミメティック・コントロールの新展開、バイオミメティックロボット等に関する研究開発等があり、また人工生命の研究、非ホロノミックロボットシステムあるいは劣駆動ロボットシステムの研究とも密接に関連がある。本部会では、このような多岐の分野に及ぶ先端技術を融合し上述のようなバイオミメティックマシンの構築や次世代メカトロニクス機器や次世代ロボット(サービスロボット、ユビキタスロボット、手術支援ロボットなど)への応用に関する調査研究を行うことを主目的とし、本部会の研究で得られる種々の新たな成果を学会員に広く公開し、また産学官の地域コンソーシアムへの投掛けを行うなど、新分野の開拓に積極的に寄与していくものである。